セグメンテーションとは、顧客や見込客(リード)などの不特定多数の人々を属性や性質などで細分化し、区分することを指します。
セグメンテーションは、多様化する顧客ニーズを満たし、セールスやマーケティングの効果を上げるために行います。
本コラムでは、セグメンテーションとターゲティングとの違いや、セグメンテーションが必要な理由、セグメンテーションの例など、セグメンテーションに関する基礎知識をまとめてご紹介いたします。
目次
6まとめ
セグメンテーションとは?
セグメンテーションとは、顧客や見込客(リード)などの不特定多数の人々を属性や性質などで細分化し、区分することを指します。
消費者ニーズが多様化し、一人ひとりに合わせたOne to Oneマーケティングの重要性が叫ばれていますが、顧客数が多かったり人的リソース不足だったりすると、一人ひとりに個別の対応を行うことは現実的ではないため、ある程度のグループに分け、それぞれにカスタイマイズした対応を行うことで代用する側面があります。
ターゲティングとの違い
ターゲティングとは、セグメンテーションを行った後に行うマーケティングプロセスで、セグメンテーション後、自社が狙いたいセグメントを決めること、いずれかのセグメント(グループ)をターゲットとしてマーケティング施策を実施することを指します。
なお、セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングを合わせて「STP」とマーケティングといいます。「近代マーケティングの父」と評されるフィリップ・コトラーが提唱した代表的なマーケティングの手法の一つです。
セグメンテーションはなぜ必要なのか?
セグメンテーションの必要性は、大きく以下の2点です。
消費者ニーズの多様化
冒頭でもふれましたが、消費者ニーズは多様化しており、現代においては誰もが欲しがるような商品・サービスというものはほとんどありません。そういった万人向けの商品・サービスを開発することはナンセンスで、かけたコストに見合う売上は期待できないでしょう。
自社の強みが刺さるような見込客(リ―ド)、自社のメイン顧客と近い属性のリ―ドなど、購入・契約を促進したい層を狙ってアプローチしていくことが重要なのです。
テクノロジーの進歩による競合への対抗策
セグメンテーションの必要性を感じてはいても、実際に行う場面で顧客やリ―ドの情報を手作業で仕分けるのでは、対応できる顧客数に限りがあったり時間と手間が膨大にかかったりして、実施できる企業は限られていました。
しかし、テクノロジーが進化してデジタルツールが手頃な価格で利用できるようになり、セグメンテーションを行いたいと考える企業の多くがターゲット層の購買行動・興味の対象などに関するデータを入手したり分析できるようになりました。
そのため、セグメンテーションに取り組まなければ、取り組んでいる競合他社に負けてしまう可能性があります。
セグメンテーションの分類
セグメンテーションの切り口(分類)には、いくつかの方法があります。
ここでは、セグメンテーションの分類として一般的な4つの方法をご紹介いたします。
地理的変数(ジオグラフィック変数)
地理的変数(ジオグラフィック変数)とは、(国、地方、県、市など)、気候、人口密度、文化・生活習慣、宗教、政策といった地理的な要素を使ってセグメンテーションを行う方法です。
地理的な要素によって売れ筋の商品が変わってくるため、地域性などに合わせた品揃えを行うことで売れ残りを減らすといった活用方法があります。
人口動態変数(デモグラフィック変数)
人口動態変数(デモグラフィック変数)とは、年齢や性別、職業、所得、学歴、世帯構成、ライフサイクルといった顧客の属性に関する要素を使ってセグメンテーションを行う方法で、セグメンテーションで最もよく使われています。理由は、消費者ニーズの大部分が人口動態変数と密接に結びついているためです。
マスマーケティングで用いられてきた「M1」「F1」といったセグメンテーションがこれに当たります。
社会的心理的変数(サイコグラフィック変数)
社会的心理的変数(サイコグラフィック変数)とは、性格や価値観、嗜好、ライフスタイルといった心理的な要素を使ってセグメンテーションを行う方法です。
デモグラフィック集団に属していても、サイコグラフィックスの観点からはまったく異なる集団に属していることは少なくありません。
たとえば、同じ20代の女性でも、ファッションに興味がなくそれほどお金をかけないライフスタイルの人もいれば、海外の流行にも敏感でファッションのことで頭がいっぱいの人もいますので、どちらをターゲットにするかによって商品開発の方向性はまったく違てきます。
ただ、社会的心理的変数のみでターゲティングすることはあまりなく、ほかの変数を併用して活用します。
行動変数(ビヘイビアル)
行動変数とは、購買状況や経路、頻度、製品に対する知識や態度、使用場面、反応といった行動パターンに関する要素を使ってセグメンテーションを行う方法です。
会員カードなどから得られる来店履歴、過去の購入データなどが活用できます。
また、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用して得られるような、Webサイトの閲覧ログやメールの開封ログといったデータもセグメンテーションに活用できます。
セグメンテーションの基準(4R)
セグメンテーションを行った後は、その中のどのセグメントを狙っていくのかを決める「ターゲティング」を行います。
このとき、自社にとってどの層を選ぶべきでしょうか。直観的に判断できそうなものですが、その判断が最適かどうかをチェックできる「4R」という原則がありますので、ご紹介いたします。
Realistic/Realistic Scale(規模の有効性)
realisticを直訳すると「写実的」や「現実的」という意味になり、ここでは、そのセグメントをターゲットにした場合に、市場の規模が実際に売上や利益を見込めるだけの大きさなのかどうかという意味で使われています。
ターゲティングしたセグメントの母数として、利益を上げるのに十分なボリュームがなければ、確度の高い層であってもターゲティングするべきではありません。
Rank(優先順位)
セグメンテーションで区分されたセグメントの順位づけを行い、優先順位の高いものからターゲティングすることが基本となります。
Reach(到達可能性)
ターゲティングしたセグメントに対して、プロモーションや商品・サービス提供が可能かどうかもチェックする必要があります。
Response(測定可能性)
ターゲティングしたセグメントに実際にプロモーションやセールスを行った後、その反応を測定することが可能かどうかという観点です。
セグメンテーションやターゲティングが適切なものだったのかどうかを検証するためには、測定可能なセグメントをターゲットとする必要があります。
なお、「Rate/Rate of Growth(成長性)」「Rival(競合状況)」の2つのRを加えて「6R」とよぶこともあります。
セグメンテーション例
ここで、セグメンテーションの具体的な事例をご紹介いたします。
スタディサプリ
株式会社リクルートが提供するサブスクリプション型のオンライン学習サービス「スタディサプリ」は、もともと、大学受験をしようとしている高校生のうち、近隣に予備校がなく物理的に通えない層や金銭的な理由から予備校に行けない高校生というセグメントをターゲットにしたサービスとしてスタートしました。そういった層が高校生全体の約7割を占めるというデータに基づいています。
「地方」という地理的変数(ジオグラフィック変数)と、「大学受験を目指す高校生」という人口動態変数(デモグラフィック変数)・社会的心理的変数(サイコグラフィック変数)をかけあわせたセグメンテーションを行ったことがわかります。
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ユニクロ
従来であれば、「女性・30代・独身・キャリア志向・海外ブランド好き」のように細かくセグメンテーションを行うアパレル業界でありながら、逆に、「顧客をセグメンテーションしない」と、セグメンテーションを逆手に取った戦略を行ったのが、株式会社ファーストリテイリング傘下の株式会社ユニクロです。
もともとナショナルブランド衣料品の小売を営んでいた同社では、1997年頃から製造型小売業(SPA)への事業転換を進めました。そして、SPAである自社の強み、つまり、消費者のニーズに合わせて柔軟に生産を調整できることから、商品を「カジュアルでベーシックな商品」というセグメントに絞り、「男性用」「女性用」「キッズ用」とそれぞれのサイズ展開のみで生産する代わりに豊富なカラーバリエーションで個々の好みに対応する戦略を取りました。
まとめ
顧客数やリード数がある程度まで増加してくると、セグメンテーションを行って効率よくプロモーションやアプローチを行う必要が出てきます。
こちらでご紹介した基本を押さえ、セグメンテーションを行ってみてください。
また、セグメンテーションを効率化・自動化してくれるマーケティングオートメーション(MA)の活用もおすすめです。
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