デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例 ~日本と海外の事例をそれぞれまとめました!~

デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例を、国内と国外の事例に分けてご紹介します。

本コラムが、これからデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組みたいと考える企業様のヒントになれば嬉しく思います。

デジタルトランスフォーメーション(DX)について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

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1.海外のデジタルトランスフォーメーション(DX)事例

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、アメリカが発祥です。
ここでは、米国を中心に海外のデジタルトランスフォーメーション(DX)事例をご紹介します。

配車サービスでタクシーサービスを変革(Uber/ソフトウェア・通信業)

米ウーバー・テクノロジーズ社が運営する配車サービス「Uber(ウーバー)」は、デジタルトランスフォーメーションの事例としてよく取り上げられる代表的なサービスで、それまでのタクシー業を大きく変貌させました。

Uberの登場により、ドライバーは空き時間を使って仕事を得られるようになり、ユーザーはタクシーサービスが普及していないエリアでもタクシーに乗れるようになりました。
また、海外のタクシーサービスでよみられる欠点であった料金の不明瞭さやクレジットカード決済が使えない、などの問題も解消しました。

日本では、Uberのサービスが「白タク行為」として法律に反するため展開されていませんが、飲食店と連携して宅配するサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」が、新型コロナウイルス感染拡大のあおりを受けて、利用者、加盟店が急増し、配達エリアも拡大しています。

Webサービス同士をつないで新しいライフスタイルを創出(IFTTT/ソフトウェア・通信業)

米IFTTT社が提供する「IFTTT(イフト)」は、「レシピ」とよばれるプロフィールを使い、FacebookやDropbox、TwitterといったWebサービス同士を連携させることができるWebサービス。無料で提供されています。

Webサービス同士だけでなくスマートスピーカーなどIoTやスマホとの連携も可能で、たとえば、スマートスピーカーに「テレビをつけて」と話かけるとスマートリモコンから赤外線が発信されテレビがつくといった自動化を設定することができます。

IFTTTの登場により、ユーザーはWebサービス同士やスマートスピーカー、スマート家電を自由につなぎ、これまでにない新しいライフスタイルを享受できるようになりました。

セキュアなApple Cardでクレジットカード業界に風穴(Apple Inc./金融業)

米Apple社が、2019年にアメリカでサービスを開始したクレジットカード「Apple Card(アップル・カード)」には、一般的なクレジットカードに記載されているようなクレジットカード番号、有効期限、セキュリティコード、サイン欄はなく、ロゴと利用者名しか印字されていません。

このため、同サービスはクレジットカード大国とよばれるアメリカにいながらクレジットカードを作ることができない移民や貧困層を取り込むと同時に、クレジットカード保持者からもスキミングなどの不正利用を回避する方法として人気を集めました。

同社では、かねてより電子決済サービス「Apple Pay」やApple Pay Cash、Apple Pay Cash Cardなど金融分野へ事業を拡大してきましたが、同社のブランド力や技術力を活かし、クレジットカード分野へも進出したかたちです。今後、日本での展開も期待されます。

アプリで顧客がDIYで取引できる環境を提供(BBVA/金融業)

スペインの銀行「BBVA(Banco Bilbao Vizcaya Argentaria)」は、アプリを通じて取引ができるようにしました。この結果、ユーザーは店舗に訪れる回数が年に10回程度であるのに対し、アプリへは年300回ログインするに至ったといいます。

同アプリは、フォレスターリサーチ社の調査において、世界の銀行アプリのなかでもっとも高い評価を2年連続で得ています。

同社では、「すべてのサービスをユーザーが自分で行える状態(DIY)」を重視してデジタルトランスフォーメーションを推進したところ、結果的に従業員にもデータを自身で活用して仕事をする「DIY習慣」が生まれたのだそうです。

アプリでパーソナルメニューを提供しロイヤリティ向上(24 Hour Fitness /サービス業)

米国の「24 Hour Fitness」は、400を超えるスタジオに400万人以上の会員、約2万3千人以上の従業員を抱えるフィットネスクラブで、年間の収益は10億ドル。24時間利用できる点が特長です。

同社では、パーソナルトレーナーの利用者が全会員の約3%、スタジオのクラス利用者が同17%と低く、残りの約8割の会員とはパーソナルなコミュニケーションの機会を持ててはいなかったといいます。

そこで、2016年頃から会員一人ひとりとのコミュニケーションを重視し、デジタルトランスフォーメーションを開始。具体的には、アプリを通して、会員一人ひとりにパーソナライズしたトレーニングのガイダンスを提供しました。

この結果、アプリの利用者とロイヤリティの高さに相関関係がみられたといいます。今後は、アプリの利用率を全会員の8割まで高めることを目標にしているそうです。

ホログラムで家具の購入比率をアップ(Natuzzi/家具製造業)

イタリアの最大の家具メーカー「Natuzzi」では、マイクロソフトのヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」を使い、家具を自宅に置いた際のシミュレーションする実証実験を行いました。商品の実物大ホログラム(立体画像)を自宅の室内に投影でき、カラーの変更も行えるといいます。

購入前にサイズ感やインテリアとの調和など、具体的なイメージが得られることから、購入決定までにかかる時間を短縮でき、購入比率アップするという結果が得られたそう。

2.国内のデジタルトランスフォーメーション(DX)事例

ここからは、日本国内におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)事例をピックアップしてご紹介します。

ICT活用で「モノ」から「コト」へ価値を変革し、生産性・安全性を向上(小松製作所/製造業)

建設機械・鉱山機械メーカーである小松製作所(コマツ)は、2015年から「スマートコンストラクション事業」をスタートし、デジタルトランスフォーメーションを推進してきました。
デジタルトランスフォーメーションを「お客様の課題解決を実現するための手段」と位置づけ、慢性的な人手不足と作業中の怪我のリスクに悩まされる建設業界を、ICTの力で改善しようというのがスマートコンストラクションです。

具体的には、従来、人力に依存していた測量や調査、設計、施工計画といった業務を、ドローンやデジカメ、クラウドを使ったシステムで実行し、自動化することで、生産性と安全性の向上を実現するというものです。ICTを搭載した建機はレンタルと販売の両方で提供。ドローンの活用により、人手では何日もかかっていた広大な土地の測量も1日で、しかも高精度に行えるなど、業務効率化・生産性向上が叶います。

2020年3月には、同事業を海外展開することを発表。米国と欧州4ヵ国(英国、ドイツ、フランス、デンマーク)において市場導入を開始するといいます。また、これまでは建設生産プロセスの部分的な「縦のデジタル化」を実現してきたが、今後は施工の全工程をデジタルでつなぐ「横のデジタル化」を目指すと意欲をみせています。

加速・減速のスムーズさを計測し、保険料をキャッシュバック(ソニー損保/保険業)

ソニーグループの損害保険会社として、自動車保険や火災保険、医療保険などを提供しているソニー損保(ソニー損害保険)では、2015年に、スムーズな運転を行っている加入者に保険料をキャッシュバックする「やさしい運転キャッシュバック型」というサービスを提供開始しました(現在は新規申込受付を終了)。
これは、自動車に設置したドライブカウンタで加速・減速のスムーズさを計測し、計測結果に応じて保険料の最大20%をキャッシュバックするというものです。

同社では同サービスの提供を経て、2020年3月に「GOOD DRIVE(グッドドライブ)」の提供をスタート。これは、スマートフォンで計測した運転特性データをもとに事故リスクを推定し、結果に応じて保険料を最大30%キャッシュバックするというもの。ソニー損保の自動車保険に特約として「やさしい運転キャッシュバック型」をセットした商品となっています。

同社の調査結果によれば、自動車事故の発生確率と急加速・急減速の発生状況には相関関係があることがわかったといいます。 このように、移動体に移動体通信システムを搭載して保険料などに反映させる保険は「テレマティクス保険」とよばれ、日本はもとより、自動車保険が高額で加入率の低い海外でも広がりを見せています。

チケットを購入しやすくし、追加・変更・リセールも簡単に行えるサービスを提供(北海道日本ハムファイターズ/プロ野球球団)

テレビ中継の視聴率は2000年前半から伸び悩むものの、球場へ足を運ぶファン数は年々増加傾向にあるプロ野球。観戦者の半数以上が既存ファンのため、新規のファンを増やし観戦に来てもらうことが課題となっていました。
しかし、初めてチケットを購入する人にとって、プロ野球のチケットはどこでどのように買えば良いのかわかりにくく、これを改善して新規のファンに気軽に入場してもらう環境整備を行う必要がありました。

チケット購入に関してはもう一つ、一度チケットを購入したものの、何らかの理由で観戦できなくなってしまったファンが安全に再販(リセール)できるようにしたいというニーズも抱えていました。

そこで、アメリカのMLB(メジャーリーグベースボール)が整備しているチケット販売システムを参考に、デジタルチケッティングサービス「チケットレボリューション」を構築。上記の課題に加え、個人情報漏えい対策や空席や販売済み座席の管理、システムダウンによる販売機会損失などの改善も実現しました。

服薬支援システムで飲み忘れを防止(大塚製薬/医薬品・食料品製造業)

日本における処方薬の完全服用率が60%であることに着目し、医療IoTを活用した「服薬支援システム」を開発。

薬剤容器に通信機能やメモリー機能を搭載することにより患者の薬の飲み忘れ・飲みすぎを防ぐだけでなく、医療・介護の効率化や病気の再発・悪化の防止、ひいては社会保障費の削減が期待できる点など社会的意義の大きい取り組みを行っています。
患者の服薬に際して収集できるデータの活用性についても注目を集めました。

基幹店の全商品をECでも地域店でも購入可能に(三越伊勢丹ホールディングス/小売業)

「ITと店舗、人の力を生かした新時代の百貨店(プラットフォーマー)」をスローガンにデジタル戦略に注力。
従来の百貨店の弱点とされていた「商品のデータベース管理」を徹底するために商品撮影スタジオを新設し、基幹店の全商品をECでも地域店でも購入できるシステムを確立しました。

チャットを活用したパーソナルスタイリングサービスの導入や、オンライン・オフラインの双方で上質な顧客体験を提供することで新たな顧客層の獲得も見込まれます。

「お客様の声」を瞬時に可視化・分析(三井住友銀行/金融業)

年間3万5,000件にのぼる「お客様の声」を瞬時に分析・見える化できるソリューションを導入。

顧客から寄せられる意見や要望を内容別に仕分けする作業に膨大な時間と人件費がかかっていたところ、「テキスト含意認識技術」の導入で特定の意味を含む文章を抽出・グループ分けすることが可能になりました。人力に頼るよりも高度な分析を実践でき、業務の効率化と同時に新たな知見の獲得にもつながったとされます。

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3.まとめ

国内外のさまざまな業界の企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)事例をご紹介しました。自社で取り組むうえでヒントとなる内容はありましたか?

すでに複数企業で成果がみられるデジタルトランスフォーメーション。取り組む企業、成果を出す企業ともに、今後ますます増加していくでしょう。

新型コロナウイルス禍を挙げるまでもなく、業界不問でビジネス環境が変貌するできごとは、過去にも未来にも起こり、避けることはできません。

ぜひ、自社の課題、顧客の課題を見つめ、デジタル技術を活用しながら改善・解決を試みてください。

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