SEMは顕在的なユーザーに対しSEO対策やリスティング広告などを実施することで、SNSを活用したSMMは潜在的なユーザーにアプローチすることを指します。
インターネットを活用したマーケティングは数多く存在しますが、マーケティングを担当している人のなかには、SEMやSMMなどの用語は聞いたことがあっても、詳しい意味などを知らない人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「SEMとは?」「SMMとは?」などといった概念から「SEMとSMMの違い」まで、マーケティング初心者でも分かるようにていねいにご説明します。
SEMとは?
SEM(Search Engine Marketing)はサーチエンジンマーケティングの略です。
検索エンジンを利用したマーケティング手法で、SEO(検索エンジン最適化)やリスティング広告(検索連動型広告)もSEMに含まれます。
SEOとは?
SEOはSearch Engine Optimizationの略で、日本語にすると検索エンジン最適化と訳されます。
おもにGoogleやyahoo!などの検索エンジンでキーワード検索された際、より上位に表示させるために行うマーケティング施策のひとつです。
SEO対策としては、ユーザーにとって有益な情報を発信することを前提に、最適なキーワードを選定したり、優良な被リンクを集めたりなど、多くの施策があります。
効果的にSEO対策を施して自サイトが上位に表示されれば、自然検索(オーガニック検索)からの流入を集められるだけでなく、安定的なコンバージョンにつながるなどといったメリットがあります。
SEMのひとつであるSEOは、Webサイトを運営するうえで欠かせない手法となっています。
リスティング広告とは?
アクセスを集める、つまり流入数を増やす施策として、SEOのほかにリスティング広告(検索連動型広告)があります。
リスティング広告は、課金することで検索結果の上位に表示させる手法のことです。
無料のSEOとは一方で、リスティング広告は有料の施策です。
ただ、上位に表示されるまでに時間を要するSEOとは違い、リスティング広告はすぐに上位に表示するといったメリットもあります。
このように、検索エンジンからの流入を増やすマーケティング手法のことを総称してSEMといいます。
SMMとは?
SMM(Social Media Marketing)はソーシャルメディアマーケティングの略です。
具体的には、TwitterやFacebook、InstagramなどといったSNSを利用し、商品やサービスなどの販売促進、認知拡大(ブランディング)を行うことをSMMといいます。
SMMは大きく「アカウントの運用」「広告配信」「キャンペーンの実施」の3パターンに大別できます。
SMMの手法①アカウントの運用
SNSはアカウントさえつくれば誰でも利用できるだけでなく、ユーザーとより近い距離でコミュニケーションが取れ、密な関係性をつくれるなどといったメリットがあります。
そういったメリットがあることから、いま、マーケティングにSNSを運用する企業が増えています。
Twitterを使ったSNSの運用で有名なアカウントをご紹介します。
- シャープ株式会社(@SHARP_jp)
2011年5月にTwitterアカウントを開設。
フォロワー数64万人を誇るなど、企業アカウントの代表例のひとつです。
日常の出来事をユーモアを交えてツイートするだけでなく、他社の企業アカウントなどとも積極的にコラボレーションしています。
さらに、一般ユーザーによるシャープ関連ツイートのリツイートやリプライなどで気軽にコミュニケーションすることでファンを獲得しています。
- 株式会社キングジム(@kingjim)
フォロワー数37万人。他企業とのコラボレーションや一般ユーザーとの積極的なコミュニケーションはもちろん、キャンペーンなどを駆使してフォロワー(ファン)を獲得しています。
キングジム公式Twitter担当者による著書『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』も好評のようです。
SMMの手法②SNS広告
SNS広告は、その名のとおりSNSに掲出する広告のことを指します。
企業アカウントだけでなく、個人アカウントでも簡単にSNS広告を掲出できます。
SNS広告は地域や性別はもちろん、ユーザーの興味関心などをこまかくターゲティングできるのが特徴です。
「東北地方に住む20代の男性にだけ出稿したい」「関東地方に住む50代以上の男性にだけ出稿したい」などといったターゲティングができるため、より効率的に出稿することができます。
ほかにも、Facebookであれば交際ステータス(未婚や既婚)などの基本情報からもターゲティングできるなど、SNSの種類によってターゲティングできる項目が変わってきます。
FacebookとInstagramの広告なら100円からなど、かなり少額から広告を掲出できるのも特徴のひとつです。
気になる人は数千円や数万円など、まずは少額から掲出してみても良いのではないでしょうか。
SMMの手法③キャンペーンの実施
「①アカウントをフォローする②特定のツイートをリツイートする」などといった条件を設け、それを実行したユーザーに対して商品をプレゼントしたり。
あるテーマに沿った画像を投稿したユーザーにQuoカードをプレゼントしたり、各社でさまざまなSNSキャンペーンを実施しています。こういったキャンペーンを定期的に開催することで、認知拡大(ブランディング)やファンの獲得にもつながります。
SEMとSMMの違いとは?
SEMもSMMもマーケティングというくくりでは共通しますが、アプローチするユーザー層に大きな違いが生じます。
SEMは検索エンジン上で行うマーケティングです。
たとえば、近所のドラッグストアを調べる場合、検索エンジンを使う人が多いでしょう。
そういったユーザーに向けて、SEO対策やリスティング広告などを実施し、確実に来店を促せるのがSEMです。
つまり、いますぐに情報を欲している顕在的なユーザーに対し、取りこぼすことなくダイレクトにアプローチ(集客)できるのです。
一方、SNSを活用したSMMは潜在的なユーザーにアプローチする際に有効です。
その理由を、ユーザーがSNSを利用する目的から紐解いていきましょう。
総務省が発表した「情報通信白書」によると、SNSを利用する目的、または利用することで実現したことは以下にまとめられます。
- もともとの知人とのコミュニケーション
- 知りたいことについて情報を探すため
- 同じ趣味、嗜好を持つ人を探すため
- 自分の交友関係を広げるため
- 同じ悩みごとや相談ごとを持つ人を探すため
- ボランティア活動や社会貢献するため
これらをまとめると、情報収集やコミュニケーション目的でSNSを利用するユーザーが多いことが分かります。
こういったユーザーに対し、自社の商品の過度なアピールなど、宣伝要素の強い投稿は嫌われる傾向にあるとも言えます。
そこで重要なのが、企業が運用するSNSはあくまでも「ファンをつくる」のが目的だということ。
ファンを通じて情報が拡散され、より多くのファンを獲得する。結果、購買や認知につながる。
つまり、SNSを活用したSMMは認知拡大(ブランディング)が目的であり、潜在的なユーザーへのマーケティングに効果があると言えるのです。
以上をまとめると、SEMは顕在層に向けたマーケティングで、SMMは潜在層に向けたマーケティングであることが分かります。
まとめ
SEMとSMMはどちらもマーケティングのひとつとはいえ、ユーザーの層に大きな違いがあります。
SEMは顕在的なユーザーに対し、SMMは潜在的なユーザーにアプローチすることを得意としています。
どういった層にアプローチしたいのかを適切に判断し、効果的に使い分けてみてください。