リードジェネレーション(Lead Generation)とは、見込客を獲得することです。
リードジェネレーションは、自社の商品・サービスを認知していない層を含む潜在顧客のなかから、購入・契約に関心のある「見込客」をピックアップするプロセスを指し、具体的な手法としては広告出稿やWebサイト運用とSEO対策、展示会への出展、セミナー開催などがあります。
①リードジェネレーション(Lead Generation/見込客の獲得)から始まり、②リードナーチャリング(Lead Nurturing/見込み客の育成)、③リードクオリフィケーション(Lead Qualification/見込み客の絞り込み)という一連のマーケティングプロセスをまとめて、デマンドジェネレーション(Demand Generation/見込み案件の創出・発掘)とよびます。
本コラムでは、これからリードジェネレーションに取り組むマーケティング担当者向けに、手法やメリット、デメリット、実際に取り組む際の注意点、リードの質を高める方法などをご紹介します。
目次
7.まとめ
リードジェネレーションとは?
リードジェネレーション(Lead Generation)とは、「見込客の獲得」のことです。
自社の商品・サービスを認知していない層を含む潜在顧客の中から、購入・契約に関心のある「見込客」をピックアップするプロセスを指します。
リードジェネレーションを行った後は、関心や検討度の度合いが低い見込客に対し、必要な情報を与えたり、疑問や不安を解消するなどのコミュニケーションを取り、信頼関係を築きながらリードナーチャリング(Lead Nurturing)していきます。
育成が進んだら、営業部門がアプローチして商談化すべく見込客の中から契約・購入に結び付きそうなホットリードを選別します。これをリードクオリフィケーション(Lead Qualification)といいます。
リードジェネレーションからリードクオリフィケーションまでの一連のマーケティングプロセスをデマンドジェネレーション(Demand Generation…見込み案件の創出・発掘)といいます。
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デマンドセンター
リードジェネレーションを含むデマンドジェネレーションを実施するにあたり、社内に「デマンドセンター(Demand Center)」を設置するのがおすすめです。
デマンドセンターとは、デマンドジェネレーションを行う組織のことで、マーケティング部門とインサイドセールス部門を包括した組織をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。営業部門やフィールドセールスへパスできる案件(MQL、SAL)を創出することがミッションとなります。
※MQL…Marketing Qualified Lead。営業にパスする意義のあるホットリード。
※SAL…Sales Accepted Lead。MQLのなかでも商談する価値のある「今すぐ」リード。
デマンドセンターについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。
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リードジェネレーションが必要とされる理由とは?
リードジェネレーションが必要な理由を説明するためには、リードナーチャリングの重要性について説明する必要があります。
リードナーチャリングの重要性
一般的に、営業マンはリードのリストに一通りテレアポなどのアプローチを行った後、すぐに商談ができて受注につながる数%の「今すぐ客」だけを追客する傾向があります。
残りの90%以上は放置されるわけですが、この大多数のリードのなかには、すぐに商品・サービスが欲しいとは考えていなくても、比較検討の後、内容が良ければ契約しようと考えている「お悩み客」や、いつかタイミングが来れば契約してくれる「そのうち客」や「まだまだ客」が含まれています。
つまり、営業マンが放置している「今すぐ客」以外の9割以上のリードをそのままにしておくのは大きな機会損失につながり、競合他社に流れてしまう可能性も高いといえます。
そこで、これらの見込客に最適なタイミングで必要な情報を与え、疑問や契約・購入を阻害する課題を解消して信頼関係を築く「リードナーチャリング」が重要になってきます。
リードのなかに今すぐ客が少なければ受注数も受注率も下がります。コンスタントに受注をあげるためにもリードナーチャリングは重要なのです。
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ツールを使った効率的なナーチャリング活動にはリードの母数が必要
特に、デジタル技術が発達して便利なツールが普及していきた現在では、マーケティングオートメーション(MA)などを活用した効率的で効果的なリードナーチャリングができるようになり、取り組まない手はありません。
そして、ツールを使ったリードナーチャリングを軌道に乗せるには、業種や企業規模、ターゲット層などにもよりますが、一般的に母数からの反応率(コンバージョン)は数%程度のため、常時だいたい3万件以上の有効リード数を保有しておくことが望ましいです。
このためにリードジェネレーション活動は非常に重要だといえます。
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リードジェネレーションのメリット・デメリット
リードジェネレーションの重要性について解説しましたが、リードジェネレーション活動に取り組むことには、メリットがあればデメリットもあります。
リードジェネレーションのメリット
まずは、リードジェネレーションのメリットをご紹介します。
営業部門の工数や受注コストを減らせる
一つ目のメリットは、営業部門の工数を減らすことができ、結果的に受注コストを下げられることです。
営業部門は、さまざまな顧客対応を行いますが、それらはすべて「受注」のためです。基本的には、すぐに受注できそうな「今すぐ客」に集中しますが、それだけでは、パイプラインが不足してしまうので、リードを集めたり(リードジェネレーション)、「まだまだ客」のフォロー(リードナーチャリング)も行わなければなりません。
ただ、潜在顧客からリードを獲得するところから商談できる状態まで持って行くのにはかなりの工数がかかります。
そこで、マーケティング部門がリードジェネレーションを担うことで、営業部門は商談と受注に専念できるようになって効率が上がり、受注コストを減らせます。
属人化しない営業組織の構築が可能になる
日本において営業職には、勘や経験、根性論にもとづく風習が長年根付いており、「デキる営業マン」の営業活動はブラックボックス化したままという傾向があります。
最近では、営業活動を可視化するなど、データや客観性に基づいて営業判断を行う企業が増えてきていますが、属人化した営業組織から、異動や退職などで人材が流動しても生産性の落ちない「属人化しない営業組織」へと変革させ、コンスタントに受注を上げられる仕組みをつくるためにも、自社にリードジェネレーションに取り組む体制を整えていくことが必要でしょう。
機会損失を防ぐ(タイミングを逃さない)
程度に差はあれど、多少なりとも自社の商材やソリューションに興味・関心を持ってくれた人だけがリード化します。リードジェネレーションを行うことで、ターゲット層の潜在顧客のなかで、興味・関心を持ってくれた人をタイミング良く拾い上げることができるのです。
逆に、リードジェネレーションを行わなければ、せっかく興味・関心を持ってくれた層を放置することになり、機会損失となってしまいます。
リードジェネレーションのデメリット
メリットの多いリードジェネレーション活動ですが、デメリットがないわけではありません。
営業が活用できないリードにコストをかけてしまう可能性がある
リードジェネレーションではある程度の母数を確保することが求められるため、たとえば、そもそもターゲット外であるというような、どうしても受注にはつながらないような質の低いリードも拾ってしまいます。
リードの質を高める施策に取り組む必要があるのと同時に、ある程度はコストとして割り切る必要があるでしょう。
リードジェネレーションの手法
では、具体的なリードジェネレーションの手法を、オフライン・オンラインに分けてご紹介します。
オフラインの手法
オフラインにおけるリードジェネレーションでは、Webではなくリアルの世界で顧客接点を作り、見込客を獲得します。
代表的な手法は、展示会やセミナーです。
展示会
自社の製品・サービスに関連のある展示会にブースを設けて出展する方法です。ノベルティを配布して、それと引き換えに名刺を交換し、リード情報を集めます。
来場者数の多い展示会では、数多くの見込客を獲得できますが、その分、見込み度の薄いリードも多く含まれます。
セミナー
自社で主催するセミナーのほか、他社との共催セミナーや、他社が主催するセミナーへの登壇などがあります。
いずれの場合も、事前登録や、開催後、参加者にアンケート回答を求め、リード情報を集めます。
オンラインの手法
オンラインの手法としては、顧客との対面の接点は持たず、Webサイトを通して行われるのが一般的です。
Webサイトへの流入
まず、自社が運営するコーポレートサイトやサービスサイト、メディアサイトといったWebサイトに訪れてもらう必要があるため、自社製品のターゲット層にSEOや広告出稿などを行って流入数を増やします。
そのうえで、問い合わせをもらったり、資料請求やホワイトペーパーのダウンロード、メルマガ登録などを促す導線設計・回遊設計を実行し、コンバージョンを得ます。
Webサイトからのリード獲得方法については、下記の記事もご覧ください。
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また、リード獲得手法については、下記の記事もご覧ください。
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リードの質を高めるためには?
いくらリードジェネレーションが大切なプロセスであるとはいえ、やみくもに大量のリードを獲得すれば良いというわけではありません(※フェーズによっては、質を問わずとにかくリードの母数が必要なこともあります)。
ここでは、質の高いリードを獲得するための手法をご紹介します。
ABM戦略を取り入れる
ABMとは、Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の頭文字を取ったもので、自社にとって価値の高い顧客を選別し、顧客に合わせた最適なアプローチをするというマーケティング手法です。
リードをポテンシャル(業種、企業規模など)とステータス(アポ見込み、商談済みといった見込度)のマトリックスでマッピングし、基本的には双方が高いリードを「ホットリード」として抽出します。
まず、自社が理想の顧客として求めるポテンシャルをしっかり設計することが重要です。また、ステータスが契約から遠すぎるとナーチャリングに時間と労力がかかるため、ステータスが高めのリードを獲得できる方法でリードジェネレーションを行うことが重要になります。
ABMについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。
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情報の鮮度を保つ
リードジェネレーションを行うに当たり、母数となる潜在顧客をデータを活用して確保する場合、当然のことながら、その情報の鮮度が高い方が質の良いリードを獲得できます。
たとえば、ターゲット層となる潜在顧客をセグメントしたリストを購入するような場合、そのデータの更新時期を確認することが重要です。BtoBの場合、担当者の退職や異動などで情報が役に立たなくなってしまいます。
古いデータを取り込まない仕組みを作ったり、サービスとして提供されているデータベースと連携するといった対策を取りましょう。
施策を見直す
リードジェネレーションに取り組んでいるのに、あまり質の良いリードを獲得できないという場合は、実施している施策を見直す必要があるかもしれません。
たとえば、掲載しているホワイトペーパーや開催セミナーで想定しているターゲット層を、より購買意欲の高い層に設定し直し、テーマを変更するといったことです。
リードジェネレーションの注意点
リードジェネレーションに取り組む際には、以下のような点に注意してください。
個人情報の取得に同意を得る
オフラインの施策でもオンラインの施策でも、顧客の氏名や連絡先といった個人情報をリードとして登録する際には、顧客の同意が必要です。2017年に改定個人情報保護法が施行されたこともあり、個人情報を取り扱うすべての企業が神経を使う必要が高まりました。
展示会で渡すノベルティやセミナーで配布するアンケート用紙、オンラインならお問い合わせフォームなどに、個人情報を取得する際には「個人情報は、新製品のご案内を電子メールで提供するために利用いたします」といった利用目的を明示しましょう。
リードの数だけを追わない
「リードの質を高めるためには?」「リードジェネレーションのデメリット」でもお伝えしましたが、リードジェネレーションの後工程であるリードナーチャリングの工数を減らしたり、どんなにリードナーチャリングしても受注につながらないような質の低いリードを大量に獲得してしまえば、せっかくのリードジェネレーションも無駄になったり高コストな施策になってしまいます。
フェーズによっては、質を問わずとにかくリードの母数が必要なこともありますが、リードジェネレーション施策を企画する際は、リードの数だけを追わず、どうすれば質の高いリードを獲得できるかを念頭に検討しましょう。
営業部門とリードの定義・目標・施策をすり合わせる
本コラムでは、マーケティング部門がリードジェネレーションを担当することを前提としてお伝えしています。獲得リードは、そのままマーケティング部門でリードナーチャリングなどを施した後、営業部門にパスすることになります。
ただ、営業部門が受け取ったリードに対し商談を行った結果、受注しづらかったり感触があまり良くないと感じたりすれば、せっかくのリードジェネレーションやリードナーチャリングの意味合いも薄れてしまいます。
このギャップを避けるために、あらかじめ獲得するリードの質や条件、数などについて合意を取っておく必要があります。ぜひ、営業部門とマーケティング部門でしっかりコミュニケーションを取りながら進めましょう。
まとめ
「リードジェネレーション」と聞くと、なにか新しいマーケティング施策のように感じられるかもしれませんが、実際には、営業部門でこれまでに行ってきたことと重なる部分も多いことに気づくのではないでしょうか。
手法もオンライン・オフラインで多岐にわたるため、自社に合った取り組みやすいものからスタートし、効果の高い手法に重点を置きながら、徐々に取り組みの範囲を広げていくと良いでしょう。
実施の際は上でご紹介した注意点にも留意し、売上・利益に効果の出る方法を模索してみてください。