コンテンツマーケティングのメリットとは?時間もお金も掛かるのに取り組んだ方が良い理由

オウンドメディアや企業ブログ、SNSの集客で注目されているコンテンツマーケティング。

 

リターゲティングなどの一方的な広告手法やSEOによるコンテンツ制作とは異なり、あくまでもユーザーにとって価値ある情報、ユーザーが求めている情報を発信することが主眼となります。

 

中長期的な施策であるがゆえに、効果が現れるまでに時間が掛かる、コンテンツ制作のためのコストが掛かるといったデメリットもあります。

しかし、コンテンツの質を重視する近年のGoogleの動向からすると、オウンドメディアを持つ企業に限らず有効なマーケティング手法だといえます。

 

ここでは、コンテンツマーケティングに取り組む際のメリットについてご紹介します。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは読んで字のごとく、コンテンツを主体としたインバウンドマーケティングの一つです。

アウトバウンドマーケティングでは難しくなってきているといわれる新規顧客獲得のために有効な手法として注目されています。

 

コンテンツマーケティングでは、優良で一貫性のあるコンテンツを適切なタイミングで届けることにより、ターゲットであるユーザーが求めている情報(知りたい情報)と自社が伝えたい情報とのギャップを埋め、見込み客との関係性を構築して購買行動につなげることに重点を置きます。

 

コンテンツマーケティングに沿ったコンテンツを継続的に発信していくことでユーザーが優良顧客となり、一時的なものではなく中長期的な収益を得られることがポイントです。

なお、ここでいうコンテンツはオンラインのものに限らず、紙媒体などオフラインのものを含む幅広いメディアを指します。

参考記事:

コンテンツマーケティングとは?BtoCとBtoBでの全体像を把握しよう!

「CONTENT MARKETING DAY 2019」レポート 第一回「基調講演|コンテンツマーケティング2020」

横文字を使わずにマーケティングの横文字を徹底解説!BtoBマーケティングハンドブック限定公開

なぜコンテンツマーケティングに取り組む必要があるの?

コンテンツマーケティングはなぜ注目され、さまざまな業界で必要性が説かれているのでしょうか。主な理由は次の3点です。

①ユーザーの情報獲得手段が変化したこと

Googleをはじめとする検索エンジンの機能の発達、スマートフォンなどモバイル端末の利用、SNSの普及などによって、ユーザーが自分の好きな時に好きな情報を得ることが可能になっています。

②プッシュ型の広告が歓迎されない傾向にあること

Webでの購買活動の普及と多様化から、各企業は競合優位性を保つことが難しく、顕在的な購買顧客の獲得競争が激化。それにより、従来の売り込み型の広告手法が限界を迎えているといわれます。

③Googleが近年、コンテンツの質を重視していること

Google公式の「品質に関するガイドライン」には次の通り記載されています。コンテンツマーケティングを実践してユーザーファーストなコンテンツを作成することはGoogleからの高評価にもつながるでしょう。

「検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する。」

「どうすれば自分のウェブサイトが独自性や、価値、魅力のあるサイトと言えるようになるかを考えてみる。」

引用:「ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)」(Google Search Console)

以上のことから、潜在的な顧客層に訴求して購買顧客へと育てていくことができるコンテンツマーケティングが注目されるようになったのです。

参考記事:

「CONTENT MARKETING DAY 2019」レポート 第一回「基調講演|コンテンツマーケティング2020」

どのくらい時間とお金が掛かるの?

コンテンツマーケティングはコンテンツそのものを主体とするため広告費がかかりませんが、一定の工数と時間、それにともなう制作費・運用費が掛かることがデメリットだといえます。

コンテンツマーケティングに掛かる時間

運用開始後は最低でも3~6ヵ月間は続ける必要があるといわれ、Content Marketing Instituteの創設者であるJoe Pulizzi氏は、顧客との永続的な関係性を築くには最低でも18ヵ月以上実施することを推奨しています。

 

また、オリジナリティのあるバズコンテンツに定評のあるライター・ヨッピー氏は、メディア事業単体でマネタイズするには3年間は続けなければならない、とコメントしています。

コンテンツマーケティングは顧客との関係を構築し、最終的に購買行動につなげるという性質上、一朝一夕にアプローチできるものではなく、良質なコンテンツの作成と発信を積み重ねることが必要となるからです。すぐに成果が見えることはあまりなく、中長期的な運用をが必要になります。

コンテンツマーケティングに掛かる費用

コンテンツ作成の工数の大半を占める記事作成を外注した場合の費用は、発注先にもよりますが月間で数万円程度から50万円程度とも言われ、運営すべてを任せる場合は50万円超といわれます。

コンテンツマーケティングの戦略的な部分も外注する場合はアクセス解析やCMSの設置などのサービスを含むことになり、発注先は制作会社やCMSベンダーになるでしょう。

前出のライター・ヨッピー氏は、メディア運営には最低でも月間300万円×3年間で総額1億800万円は必要である、と一例を挙げています。また、そもそも「コストがかからないから」というなかば短絡的な発想で自社メディア運営に手を出すことはおすすめできないとしています。

費用については、BtoC向けなのかBtoB向けなのか、娯楽要素が強いのか業務時間中に見てもらう必要があるのかなど、オウンドメディアの性質によっても異なります。

一定の時間が掛かることと、それに耐えられる予算とリソースが自社にあるかどうかで、コンテンツマーケティングの取り組み方を検討すると良いでしょう。

参考記事:

オウンドメディア運用に“気合い”入ってる? ライター・ヨッピー氏が編集側に声を大にして伝えたいこと

成果が出るまでに必要な記事本数

先ほど、コンテンツマーケティングが最低でも18ヵ月以上続けることが大切であることをお伝えしましたが、成果が出るまでに必要な具体的な記事本数は、インタビューなどの読み物型記事で166本以上、データなどを掲載した情報ノウハウ型記事で59本以上という調査結果が出ています。

週に平均2本ずつ記事を公開したとして、読み物型記事では約21ヵ月(83週)、情報ノウハウ型では7.5ヵ月(30週)の期間が必要となります。さらに、記事の企画や制作にかかる期間がプラスされることもふまえて、運用を開始しましょう。

データ参考元:B2Bサイトにおけるコンテンツマーケティングのあるべき姿についての提言(WACULテクノロジー&マーケティングラボ)

コンテンツマーケティングのメリットとは?

では、それだけの時間とお金を投資してまで取り組む意味があるのでしょうか。

コンテンツマーケティングの実践には、従来のWeb広告手法に比べると次のようなメリットが挙げられます。

●広告費をかけずに始められる

オウンドメディアのブログやメールマガジンでも始めることができ、内製の場合は人的コストのみでスタートすることも可能。初期導入時のハードルが比較的低い

●運用期間(掲載期間)の制約がない

Web広告のように時間的・費用的な制約を受けることなく、効果測定をしながら自社の都合で運用期間(掲載期間)や発信のタイミングを見極めることができる

●コンテンツは蓄積され、資産となる

Web広告は掲載期間が終了すれば消滅するが、コンテンツは自分たちの資産として残る。コンテンツの制作と運営を自社内で行えば、そのノウハウも資産になる

一方でデメリットとしては、コンテンツを更新すること自体が目的になってしまうことや自分たちが作りたいコンテンツに偏ってしまうことなどが挙げられます。

 

求めるコンバージョンによってペルソナの設定やカスタマージャーニーの作成を行い、より共感度の高いコンテンツを作成しつつ効果測定をすることが重要です。

コンテンツマーケティングを継続的に実践すれば次のようなメリットが見込めるでしょう。

参考記事:

ホームページで集客を成功に導く6ステップとは

ブランディングや信頼性の獲得

自社の専門分野に関する資料や社内に蓄積されたノウハウをオウンドメディアのブログなどで発信し続ければ、一定のコンテンツ量を貯めることができます。

そこに固定ファンがつけば、「このサイトを見れば欲しい情報が手に入る」と評価されるようになるでしょう。

 

マーケティング用語としてのオピニオンリーダーは顧客の購買行動に大きな影響力のある意見や感想を提供する人々を指しますが、コンテンツマーケティングの実践によって特定の分野のオピニオンリーダーになることは、新規顧客の信頼を得ること、ひいては自社のブランディング効果アップにつながります

参考記事:

【#成功のバトン】「テテマーチ」は、オウンドメディア、SNS、イベントで企業ブランディングに成功している

SEO流入の強化

コンテンツマーケティングにはそれなりの初期投資が必要ではありますが、コンテンツそのものが資産として残ります。

ドメインが強くなれば広告を使わずに集客することが可能となるでしょう。

 

なお、コンテンツマーケティングはコンテンツSEOと混同されることがありますが、コンテンツマーケティングの目的はSEOではありません。

コンテンツマーケティングにおいては、SEOはあくまでも副産物的なものであると捉えると良いでしょう。

 

株式会社日本SPセンター 代表取締役社長 渡邉 一男氏によると、2014~2015年のGoogleの検索アルゴリズムの変化でコンテンツの質を重視したサイトが優位になったことから「コンテンツSEO」という言葉が発生し、コンテンツマーケティングの目的がSEOであるかのように捉えられることとなってしまったといいます。

参考記事:

【SEO対策のやり方】キーワード・コンテンツ・リンク・定点観察の4STEPで対策しよう!

「CONTENT MARKETING DAY 2019」レポート 第一回「基調講演|コンテンツマーケティング2020」

「第三者プラットフォーム」問題からの脱却

「第三者プラットフォーム」とはSNSを指します。CONTENT MARKERING LAB シニアリサーチャーの村上 健太氏によると、米国のマーケターが問題視しているのはここ数年でSNSの利用者数が頭打ちになったこと、それによって運用が停滞していることだといいます。

アメリカでは若年層を中心に全世代でFacebook離れが進み、他のSNSへの流入やいわゆる「SNS離れ」「SNS絶ち」が加速化している状況です。

 

こうした背景から、前出のJoe Pulizzi氏は自社媒体の再評価を提唱しています。

「SNS危機」が起こった場合の生き残り策として、ユーザーと直接的なつながりを持つことができ、かつ、マーケター側でコントロールが可能なメルマガや印刷媒体を活用したコンテンツマーケテイングが推奨されています。

参考記事:

「CONTENT MARKETING DAY 2019」レポート 第七回「BtoB Content Marketing World 2019 視察レポート」

サードパーティークッキーに頼らない施策

米Googleはユーザーのプライバシー強化などの観点から同社のウェブブラウザ「Chrome」でのサードパーティークッキーのサポートを2022年までに廃止すると発表しました。

サードパーティークッキーはターゲティング広告のために利用されることが多く、これが使えないとなるとデジタル広告業界は大きな影響を受けます。

 

Googleに限らず、全世界的な動きとして廃止や制限が進められているサードパーティークッキー。

これに頼らねばならない集客施策はいずれ使えなくなることを見越して、現在、個人情報保護規制の対象外であるファーストパーティー・データ(ファーストパーティークッキーにより取得したデータ)の活用性が注目されています。

 

今後のデジタル広告業界では、自社メディアの構築によって顧客情報を収集することが重要視され、コンテンツマーケティングがデジタル広告分野を支配するであろうといわれているのです。

参考記事:

Google、Chromeで2年以内にサードパーティCookieを完全に廃止する計画を発表

価値観の合うユーザーを獲得できる

コンテンツマーケティングによる集客は、企業側が売り込むのではなくユーザーが自発的に情報を収集するなかで自社媒体にアクセスしてもらえるという点で効率的です。

また、実際にアクセスして来るのはもともと興味・関心度の高いユーザーに絞り込まれることから、将来的に有料顧客になるであろうユーザーをピンポイントで狙うことができ、無駄がありません。

 

自社が設定したターゲットに当てはまる顕在層に対しては、悩みに共感してアンサーを提供するコンテンツや専門性の高いコンテンツを提供してファン化を狙うと良いでしょう。

潜在層に対しては、気軽に参加できる「チェックリスト」などで潜在ニーズを喚起する方法もあります。

参考記事:

記事ネタに困ったら?適当じゃなくてユーザーにタメになるネタ探し方法を教えます!

拡散される可能性がある

自社が発信したコンテンツが有益なもの、良質なものであるとしてユーザーに評価されれば、FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で拡散される可能性があります。

 

コンテンツマーケティングはSNSとひじょうに相性が良いといわれます。

特にオウンドメディアのブログ記事や動画などは、単体では受動的な媒体ですが、SNSに投稿されて拡散されることで能動的な発信が叶い、弱点が補完される効果があります。

 

顧客により拡散されたコンテンツが新たな読者の目に留まり、さらに拡散されれば、広告を使わずして優良顧客やリピート客を獲得し続けることも可能です。

参考記事:

参考にしたいサービス紹介動画の事例!わかりやすい動画15選!

まとめ

従来のプッシュ型のアウトバウンドマーケティングの効果が薄れるにつれ、プル型のインバウンドマーケティングとしてもはや主流となりつつあるコンテンツマーケティング。

ユーザーのニーズを見極めてコンテンツの質を高めるためにはそれなりのコストと工数が掛かりますし、成果がすぐに見えるわけではありません。

成果をあげるためには長期的な視野が必要であり、ユーザーにとって価値あるコンテンツを一つひとつ積み重ねていくことに尽きます。

 

コンテンツマーケティングのメリットは、もともと興味・関心度の高い顕在的な顧客だけでなく、潜在的な顧客にもアプローチできる点で広告以上に集客効果が大きいことが挙げられます。

 

SNSでの拡散を目指すには、コンテンツの専門性やオリジナリティと親しみやすさとのバランスを取ることも有効でしょう。

マーケティング担当者は時間とコストを掛ける価値が明確にわかるようプレゼンを実施し、上層部を納得させることが重要です。

参考記事:

エコーチェンバーによるコンテンツの偏りに注意。検索ファーストから、ユーザーファーストの考えが重要